ノエルティル
心理占星術
感想

【第1回】ティル心理占星術・感想レポート(出生図の分析) by MSさん

 

新里ひろきのノエル・ティル心理占星術『第一部:出生図の分析』受講生のM.S.さんが、感想レポートを書いてくださいました。M.S.さんは、英語に堪能で、多数の占星術の専門書を原書で読み込んでおられる占星術のプロフェッショナル。

世界の占星術界に詳しいM.S.さんによる感想レポートだからこそ、ティル占星術の独自性や魅力が浮かび上がってきます。ぜひ、読んでみてくださいね!

 

 ノエルティル心理占星術『第一部:出生図の分析』第1回の感想レポート

 

私は占星術を本格的に学び始めて20年ほどになります。


その間、何人かの先生のコースで学ばせていただきつつ、興味の向くままにモダンや古典占星術の本を読み、技法を試しながら個人セッションや個人レッスンも行ってきました。

 

ティル式については著作を拾い読みしたり、Basil Fearringtonさんがティルメソッドをまとめた「The New Way to Learn Astrology」や、翻訳された「心理占星術 コンサルテーションの世界」「心理占星術 クリエイティブな理論と実践」などは読んでいますが体系的に学んだことはありません。

 

けれどいくつかの独自解釈やソーラーアークなどは実際の鑑定に取り入れてその有効性を実感していましたので、今回ティル先生から直接学ばれた新里先生の講座が10年ぶりにリニューアルされたのを機に第1部の「出生図の分析」を録画視聴で受講させていただきました。

 

第1部「出生図の分析」は、ティルメソッドの基礎となる分析法を学ぶ講座で、その第1回は「半球強調とセラピーフロー」「太陽の燃料と月の欲求」という2点についてのレクチャーでした。

  

「半球の強調」はホロスコープの東西南北のどこに強調が見られるかで人生の発達パターンを見つけるテクニック。まずここを押さえることでホロスコープの第一印象をつかんで、確認すべき傾向とそれに対処する方法までアプローチすることが可能になります。レクチャーではそれぞれの強調された半球の特徴と考えられるセラピーフローの方向性、半球の強調を判断する際に混乱しやすい逆行天体の扱いなどが丁寧に解説されます。


スクリーン上のホロスコープには10天体を模した小さな円が1方向に偏って配置され、向かい側の何もない半球にはそのスペースを狭めるように赤線で弧が描かれていて、半球の強調が個人の個性を強く形成する一方で人生における全円的な発達を阻害する要因にもなり得ること、そしてそれが問題を引き起こしている場合にバランスを整える手掛かりとなったりセラピーフローを検討すべきところが視覚的に把握できていいなと思いました。


また、新里先生の落ち着いた声のトーンとスピードの語り口も、「達人が受け取りやすいボールを投げてくれているかのような話し方」とでも言えばいいのでしょうか、内容が抵抗なく収まるべきところへ収まっていく安心感があります。こういうのもおそらくはこの先の講座で身に着けていくことになるカウンセリングのスキルなのでしょうが、最初からそういうところに触れることができるのも大変勉強になります。


後半の「太陽の燃料と月の欲求」では、各サインにおける太陽と月について、ティル式独自の定義と組み合わせの分析が提示されました。従来の占星術と違うのは、各サインの太陽と月をそれぞれ「エネルギー」と「欲求」という切り口で定義し、そのうえで解釈を構築していく点です。エレメントやモードの違いが生む利点や問題点も解説されますが、ライツを象徴に委ねず「エネルギー」「欲求」に振り切ったぶん、その人の存在意義やコアのようなものにかなり肉薄することが可能になっているように感じました。


ところでこの講座ではとても充実した質疑応答と「ノート(テキスト)」が配布されるのですが、私はその「ノート」に書かれた『解釈のコツ:太陽のエネルギーを、月の欲求の充足のために使う』にズシッとしたインパクトを感じました。


従来の西洋占星術では月を、移ろいやすい感情や認識しにくい無意識領域、女性一般や子供と結び付け、少々「太陽に属するもの」的なイメージを付与するような傾向があるように思います。

  

もちろんティル先生もそれらを月が象徴するものとして扱うのですが、ホロスコープの構造やダイナミクスを考えるにあたっては象徴としての天体と機能としての天体が区別され、月に「太陽を活用するもの」に近い地位を与えているかのように感じられました。太陽と月で一つの作用機序が成立し、それがホロスコープ全体を方向付けている感覚です。

 

月に正当な評価を与えると世界が変わるって、もうこれだけで心理占星術っぽくて面白いのですが、これによりこれまで抱いていた「太陽と月の組み合わせ」がダイナミックな顔をあらわし始め、もっと言うならば、月の復権とともにホロスコープ全体が刷新されて別の次元を顕し始めるように思えて、新しい魅力的な占星術と出会ったとき特有の開いていく世界に巻き込まれる感じにワクワクします。

 

私はこれまで他の占星術を勉強してきた期間が長い分、ティル独自の理論や概念の画期的なところに気づきやすいのかもしれません。そういう意味ではある程度やってきた人の方が「おお!」というワクワクを楽しめるのかもしれませんね。

 

それにしても「ホロスコープの偏り」や「太陽と月の組み合わせ」みたいな基礎の基礎を使うだけで、ホロスコープの偏りや傾きを下手すると1分かからずに把握できてしまうなんて、さすが山羊座太陽(注:ノエル・ティル先生は太陽が山羊座)が作り出すシステムは効率重視で無駄がないと本当に感心してしまいます。これ以降も楽しみになった回でした。

 

( M.S.さん 50代 占星術師 )

 

 M.S.さん、素敵なご感想レポートをありがとうございました^^ 

 

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☞ [全体像] ノエルティル心理占星術マスタープログラム
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